陸の上よりも、海の上のほうが落ち着くと言うジル・ミケルセンさん。私が、彼女の小柄な体からは想像がつかないほどのエネルギーを感じるのは、やはり一緒に船に乗っている時。1980年代にカリフォルニアからラハイナに移り住んでから今まで、陸にいるよりも、海にいる時間が長いと思えるほど、クジラの調査に時間を費やしてきた彼女の経験と知識を考えると、クジラを見るために船に乗るとしたら、彼女の船以外は考えられないのです。
クジラ調査の権威として知られた師匠に、船の運転の腕をかわれてクジラ調査の道に入ったジルさん。数年前に師を失ったときのショックは大きかったものの、その後はさらなる調査を続け、師の築いたものをしっかりと守っているそうです。
アラスカとハワイを行き来することで知られるザトウクジラは北太平洋の海に2万頭以上、その6割の約1万3千頭程度がハワイにやってきて、マウイ島周辺の海峡で多く見られます。アラスカで捕食し、ハワイでは出産や生殖を行うクジラたちにとって、温かいハワイの海水と、特に内海をもつマウイ島周辺の浅い海は最適なのでしょう。
「マウイ島、モロカイ島、ラナイ島、カホオラヴェ島は古代にはマウイヌイという大きな島で、地盤の変化によって海水が入り込んでいるので、浅めの海なんですね。アウアウ海峡と呼ばれるのですが、ハワイ語でアウアウと言えば、入浴、水浴びのこと。クジラが水浴びを楽しんでいるのは間違いないです。生まれたばかりの赤ちゃんクジラの産湯にもぴったりでしょう」と語るジルさんは、クジラのこととなると目がキラキラ。
仕事は情熱があってこそ成果もでるし、継続が可能だとしたら、船長でクジラの調査員という仕事はジルさんは天職。「私の船は大人のクジラの大きさなの。クジラに会いに海に冒険にでるとき、巨大な大きさの船で行くより、クジラと同じ大きさの船で行くのが自然でしょう? 最近、日本の小笠原からもクジラが来るのよ。日本から泳いできたクジラに、日本の皆さんがマウイ島の海で出会うなんて、運命を感じるに違いないわ!」と語るジルさんからは、クジラや海への愛と情熱を、たっぷり感じてしまうのです。
生態を知り尽くし、愛情を持ってクジラに近づくジルさんの船で、今まで見たことのない何かが見てみたいと思いませんか?
写真:ジル・ミケルセンさん/右、スタッフのアンドレアさん/左
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