ハワイ島はハワイ諸島のなかで一番南、そして一番東に位置しています。つまりハワイ州の最南端、最東端がある島ということ。
最南端の地はサウスポイントと呼ばれていて、ガイドブックなどでも紹介され、ちょっとした観光スポットになっています。
それとは対照的にあまり知られていないのが最東端の地。地図で見ると、ハワイ島はダイヤ型をしていて、東側は特に大きく突きだしています。その先端にあるのがハワイ最東端の地・クムカヒ岬です。
クムカヒとはハワイ語で「始まり、最初」という意味。伝説によると、カヒキ(彼方の地、一説ではタヒチ)からやってきた勇者が、ハワイ島に上陸したのがこの場所。この勇者はふたりの妻を連れていて、この妻たちは、クムカヒ岬で太陽を操り、季節をコントロールしたと伝えられています。視界をさえぎるもののない最東端の岬は太陽や月の観測に最適だったのは想像にやぶさかでなし。この伝説の人物たちは、天体の動きと農耕や漁・航海との関連性をひも解く、初期の天文学者だったのかもしれません。
またクムカヒはこの地に住んでいたアリイ(貴族)の名前ともいわれています。クムカヒは火山の女神ペレをからかったために怒りを買い、大量の溶岩に襲われ、押し流されてしまいました。そしてできたのがこの岬だともいいます。
現在のクムカヒ岬には、沖合を航海する船のためのビーコン(灯台)がポツリとたち、その先は猛々しい溶岩に覆われています。車は灯台の場所まで入れますが、その先はトレイルもないラフな溶岩大地。海辺近くまで歩いて行きたい時は、スニーカーなど足の先をカバーする靴がお勧めです。
●クムカヒ岬への行き方:ヒロからハイウェイ11号線をボルケーノ方面へ南下、130号線を左折パホア方面へ。パホアから132号線をカポホ方面へ。137号線との交差点を未舗装の道へ直進(道は普通車でも問題なく通行できる)。車は灯台の場所まで入れます。ヒロから約45分
写真:クムカヒ岬の海岸沿いの高台には祭壇のようなものが供えられていました