19世紀から20世紀前半にかけて、ハワイ全土でサトウキビ・プランテーションが盛んだったことはよく知られています。ここハワイ島はとりわけ土地が広く、また高山から流れ出るいくつもの水源に恵まれたため、島の北端ノース・コハラからハマクア・コースト、島の南部カウに至るまでの広大な範囲がサトウキビ畑として開墾されました。最盛期には20を越える砂糖精製会社がこの島にあったといいます。
20世紀後半、南米などで価格の安い砂糖が台頭した事からハワイの砂糖産業は衰え、1996年にパハラの製糖工場が閉まったのを最後に、ハワイ島からサトウキビ・プランテーションは姿を消します。けれども、今でも あちこちに野生化したサトウキビが残っていて、かつてのプランテーションがいかに広かったかを想像するのは今も難しくありません。 写真はアカカ・フォールズへ至るアカカ・フォールズ・ロードの風景。この辺りもかつては一面サトウキビ畑でした。
ところで、この大々的なプランテーションがよく知られているため、サトウキビは、てっきりこの産業が始まった頃にハワイに持ち込まれたと思われていることも多いようです。
実はそれよりもずっと以前、ハワイにポリネシア人がやってきた頃からサトウキビはここに存在しました。ハワイ語の名前もありコー(Kō)といいます。コーは、甘味料としてだけでなく、薬としてカフナ(神官やヒーリングマスターなど)に用いられました。また固い葉は屋根を葺く材料に、ススキのような花の部分はレイにと、様々な用途に利用されたといいます。ハワイにとって、昔から大切な植物のひとつだったのですね。