ヒロの公共図書館の前には、長方形の大きな石がドーンと横たわっています。この石は単なる飾りではなく、聖なる石としてハワイアンに大切にされていたもの。その名もナハ・ストーンといいます。かつて、この図書館の近くにあったというヘイアウに祭られていました。
カウアイ島からアリイ(貴族)の一族・ナハ族のマカリイヌイクアカワイエアがカヌーで運んで来たというこの石は、アリイの子供が生まれた時、その血統を確かめるために使われたのだそうです。赤ん坊を石の上に寝かせると、アリイの子でない場合は泣き出すとされため、おとなしくしている子供はアリイの血筋であると証明されたのです。
ナハ・ストーンにはもうひとつ逸話が残っています。 およそ幅4メートル、高さ1メートルもあるこの巨大な石は、重さなんと3.5トン。数人掛かりでもなかなか動かすことができません。しかし、これをひとりで動かすことができた者は、ハワイで最も偉大な王になると言い伝えられていました。カメハメハ大王は三十代の若かりし頃(十代だったという説も)、この預言にチャレンジします。この挑戦はけっこうなうわさになっていたとみえ、たくさんの人が見物に集まりました。そして衆人環視のなか、彼は見事にこの石を持ち上げ、ひっくり返したのです。1789年のことでした。後にカメハメハがハワイを統一することになったのはご存知の通りです。