ここ数日、低気圧に覆われてはっきりしないお天気のハワイ島。 まとまった雨が降っているため、島の東側にある滝や川は、どれもたっぷり水量があってなかなか迫力ある景色が楽しめます。
そのうちのひとつがワイルク川。ヒロの街の北側を流れるこの川は、ハワイで一番長く、マウナケアとマウナロアの間に端を発します。有名なレインボー・フォールズもこのワイルク川のものです。
そのレインボー・フォールズから車で5分ほど上流にあり、水が織りなす自然のスペクタクルを楽しめるのがボイリング・ポットです。「煮えたぎる壷」というなんだかあまり滝らしからぬネーミングですが、それというのも、水量が増したときに見える光景から。数段になった滝壺に流れ落ちる水が荒々しく渦巻き、まるで沸騰しているかのように見えるのです。
ボイリング・ポットの名前は、ハワイの伝説にも登場します。ハレアカラ山で太陽をつかまえた話で有名な半神半人の勇者マウイの、もうひとつの武勇伝がそれです。
ワイルク川のレインボー・フォールズには、マウイの母であるヒナが住んでいました。その上流にはクナというトカゲの怪物がいて、たびたびヒナに悪さをし、あるときヒナは命の危険にさらされます。ヒナに助けを求められたマウイは、カヌーに乗り、たった二漕ぎでワイルク川に達すると、クナと死闘を繰り広げます。追いつめられたクナは上流に逃げて川床の所々にある隠れ家に隠れます。そこでマウイが焼けた溶岩を川に流し込むと、水は沸騰してついにクナは死んでしまいました。その場所が、ボイリング・ポットなのです。