今年の初めに、とうとうその時が来たのだなと、誰もがつぶやく出来事がありました。マウイ島にあるハワイ州最後のサトウキビ工場が閉まることになったのです。145年の歴史の終焉、アレクサンダー&ボールドウィンの経営するハワイ・コマーシャル・シュガー・カンパニーが、今年145回めの収穫を最後に工場を閉鎖。ハワイ・コマーシャル・シュガー・カンパニーの36000エーカー(145.7平方キロメートル)の土地は今後は農業や牧畜、自然エネルギーの生産に使用される計画が進んでいるようです。
1840年代に巨大化しはじめたハワイのサトウキビ産業は、労働力を必要としたために、移民政策によって労働力がまかなわれました。日本からの正式なサトウキビ工場の労働者としての移民は1885年から開始。三年間の契約でやってきたこの日系移民が契約期間後にハワイに残り、日系一世として次世代を残したために今も数多くの日系アメリカ人がいるのですが、産業が盛んな当時はマウイ島は島民の40%が日系人だったと記録に残っています。
日系人の歴史はハワイに数限りなく残っていますし、生活文化に浸透していますけれど、ハワイ最後のサトウキビ工場、通称プウネネ・ミルが今年の終わりには煙を消すのかと思うと、歴史の大きな節目を感じます。カフルイ空港から出発、到着をする飛行機の窓から見える広がるサトウキビ畑、毎日見かける工場の煙で知る風の強さや風向き、現在でも生活の一部であるサトウキビ畑にお別れを言うのは何とも忍びないものです。