時間のある週末の朝や、家族や友人とゆっくりおしゃべりでもしたい時、「グラマンズ、行こうか」と声があがってしまう我が家。「やったー、フレンチトーストとベーコン!」「どのオムレツにしようか?」「エッグベネディクトも美味しいよね」「マフィンは?」と食べ物の話題で盛り上がるということは、円満家庭の証拠かもしれませんね。
我が家からグランマズ・コーヒー・ハウスまでは、車で20分。遠くはありませんが、ちょっと近所でコーヒーを飲みに出かけたいのであれば、2、3分のマカワオの町に出て行けばいいことです。時間かけても出かけて行きたくなる理由は何なのでしょう。
ハレアカラの裾野のクラ高原を通りぬけ、ウルパラクアへ向かう一本道に入っていく手前のキオケアと呼ばれる地域の一番端っこ、私がマウイにやってきた15年前にすでに半分傾くように建っていた木造の家、グランマズ・コーヒー・ハウス。キシキシと音のする木の床を歩いて、カウンターでオーダーするときは、どれも食べたくなってしまうメニューのなかから、まるで人生の最大決断をするような気分で注文し、マグカップに注いでもらったコーヒーをもって席に座るのです。
静かな気持ちのいい高原、森から吹く香りのいい風、清涼とした空気のなかの太陽の光。食べ物を美味しく食べる条件が揃っていますよね。テーブルを囲んで、たわいのないお喋りに花を咲かせながら、ふと壁にかかっているいくつもの絵を見ると、全部傾いている……、グランマズ、おばあちゃんの家だもん、まっすぐなわけないね、と心が温かくなってしまいます。
グランマズのグランマ、ミニー・フランコさんは両親と一緒に1899年にプエルトリコから移民しサトウキビ産業で働きながら、時間を見つけてはコーヒーの木から実を摘んで焙煎し、コーヒーを飲むのを楽しみにしていたのが1918年ごろ。その後グランマ・ミニーは、彼女独自のコーヒーの味を孫のアルフレッドさんに教えます。そして1983年、アルフレッドさんがグランマ・コーヒー・ハウスをオープンし、現在に至っているのです。
美味しい食事はあっという間に食べ終わってしまうのですが、体も心もすっかり大満足。すっかり落ち着いた我が家の面々、見晴らしのいい高原から、西マウイの景色を眺めながら、ぼんやりとする帰り道。おばあちゃんの家がくれるのは、コーヒーと食事だけではなくて、幸せな時間なのですね。
グランマズ・コーヒー・ハウス/Grandma's Coffee House
9232 Kula Hwy, Kula, HI 96790
http://www.grandmascoffee.com/