マウイ島の港のひとつであるマアラエア港。今はホエール・ウォッチングやモロキニ島へのスノーケリングのツアーなどの観光船を中心に、魚釣りの船が出る港として賑わっていますが、港の前に恵比寿様と祀る神社があります。1880年以降、サトウキビ産業の働き手を集めるための移民政策によって日本から渡った移民が、サトウキビ産業で働く以外に漁業にも関わり、日本の漁師さん同様に漁業の安全と繁栄を願い、恵比寿様を崇める神社を立てたのが、この神社の始まり。そしてなんと、2015年の今年は神社の100年記念を祝われました。
釣り竿を持ち、魚を抱える姿で知られる恵比寿様は、七福神のなかでも唯一の日本出身の神様、国造りの神「イザナギノミコト」と「イザナミノミコト」の子どもで、3歳になっても歩けないので葦で作った船で海に流されたことから、海の神様となり、特に日本でも海沿いの地域や海に関わる仕事をする人々の信仰を集めています。日本の神様も日本からの移民とともに海を渡り、ハワイの人々がカナロアの海と呼ぶ、このマアラエア港の前の海を見渡して、人々の海の安全を守ってくださっていると思うと、何ともありがたいこと。私もマアラエア港を通ったり、港から仕事に出かけるときなどは立ち寄って、手を合わせています。
さて、当時の日本からの移民が勤しんだ漁業はどんなものだったのかを調べてみると、主にハワイではアクと呼ばれるカツオ漁だった様子。この港にカツオを積んだ船が戻ってきていたのだなと思うと感慨深いものがあります。鰹節から、初鰹や戻り鰹のお刺身までを愛する日本人、カツオの需要は日本人移民を中心にアジア系の移民やハワイの地元民など広くにあったようです。
現在はカツオ漁業を生業にする船は稀なようですが、観光に出かける船や、海のスポーツに出かける船を見守る恵比寿様が頼もしく思えてなりません。