タロ農家、タロ芋を育てている農家。タロ芋は、ハワイ語でカロ、かなりの種類があるタロ芋ですが、以前、日本の農協の専門誌の仕事をさせていただいたときに、農協の方がおっしゃるには、水耕で育てられている種類のタロ芋は、日本では奄美大島の辺りで育つミズ芋と同じでしょうとのこと。
水耕で育つ作物といえば、日本ではお米、稲作は日本の古代の神様の時代、『古事記』では宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)、『日本書紀』では倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)と書かれ、お米の神様として、伊勢神宮や伏見稲荷大社などにも祀られていますが、ハワイでもタロ芋は神様です。
タロ芋の出生は、天空の神様ワーケアと大地の神様パパの娘ホオホークーカラニと、ワーケアとの間に未熟な状態で生まれた赤ちゃんを、ホオホークーカラニが家の西側の朝日のあたるところに埋めたところ、長い茎とハートの形をした葉っぱを持って育ったところに始まります。葉っぱが風に吹かれて、ひらひらと揺れるところから、その子にはハーロアナカラウカパリリと名前がつきました。ホオホークーカラニはその後また赤ちゃんを身ごもります。今度は無事に生まれ、その子は先に生まれたハーロアナカラウカパリリの名にちなみ、ハーロアという名前をもらいました。
ハーロアナカラウカパリリはタロ芋、この世に初めて生まれた人間であるハーロアはタロ芋を食べて成長し、子孫を増やしていくのです。つまり、ハワイの人々はハーロアナカラウカパリリとハーロアの子孫として、先祖を大事にしています。今回ご紹介するタロ農家のホークーアオ・ペレグリーノさん、自身の農園ノホアナ・ファームを経営しながら、子どもたちから大人までにタロ芋とは何かを話し、タロ芋の育て方を教えているのです。
「僕や僕の家族は幸運なことに、先祖から伝わる土地に今も住んでいます。でも以前は農園を本格的にはしていませんでした。でも土地のなかにタロ芋の畑の跡を見つけたときは、祖先が残したものを引き継がなくてはいけないと覚悟しました。タロ芋の畑(ロイ)の作り方はそれぞれの環境に合わせてあるのですが、私の家族の土地は水流に沿って斜面になっていますから、水耕栽培のロイです。昔のロイを直して復興させたのですが、これはまだ一部、まだ復興できていない部分にかかりたいのですが、昔のように水が流れていない、水の配分を行っている行政が水の配分を農園に必要な分を戻してくれないと、ロイを全面復興しても水が足りないんです」
昔のように水をほしいと語るホークーアオは、私の祖父母が田んぼに水を入れたあと、水がいつもあるかどうか、地域で水が正しく分配されているかどうかを心配する姿を思い出させ、ホークーアオが水のために活動を行うときは必ず私も参加するようにしています。同世代の友人として、活動家のホークーアオを支えるなかで、彼が実は恥ずかしがり屋で表に出たがらないことも知りました。活動家とあれば、出るところに出て主張をするのが常、でもそれは彼自身の真面目さゆえであって、彼の情熱や家族への愛情が彼を動かしているにすぎないのです。Eō Hāloanakalaukapalili ! がんばれ、ハーロアナカラウカパリリ!
※神話にはいくつかの説がありますので、この説はそのなかの一つにすぎません。