ウエスト/レジェンド、バッファローとマカハの海

2020.03.18

ハワイのサーファーは結束が強いことで知られている。それは地元の海を愛し、お互いをレスペクトし、コミュニティを大切にしているからだ。とりわけウエストサイドのマカハは、その結びつきがタイトなことで知られている。オアフ島のウエストサイドは、ネイティブハワイアンが多く暮らすエリアで、古き良きハワイの伝統と暮らしが色濃く残っている。夕方になるとビーチに仕事帰りの男達が集まり、波があればサーフィンに興じる。子供達が砂浜を走り回り、波打ち際では父親が子供達にサーフィンの手ほどきをしている姿も。ここマカハは、地元の人達にとっての“日常”なのだ。

マカハは半世紀以上も前から、世界的に知られるサーフスポットだ。今も伝説として語り継がれている世界屈指のビッグウェーブがブレイクしたり、多くの世界大会も開催されてきた。しかし、近年ノースショアで問題になっているようにビジターサーファーが大挙して訪れ、我が物顔で波を奪い合うようなことはない。海には凛とした空気が流れ、サーファーはルールとマナーを遵守している。ビーチの秩序が保たれているのは、バッファロー・ケアウラナというレジェンドのお陰だろう。

バッファローはハワイを代表するサーファーとして、多くの尊敬を集めている。1950年代はワイキキのビーチボーイズのメンバーとして活躍し、さらに1960年代は優れたコンペティターとしてその名を広く知られるようになった。サーフィンだけでなく海に対する知識と経験が豊富さを買われて、地元マカハのライフガードを託された。彼に命を救われた者は数知れず、いつしかレジェンドと呼ばれるようになった。

「バッファローは海と遊ぶことだけじゃなく、海と携わっていくこと、海にいる人達の命を救うことをカルチャーとしてこの地に築き上げていったんだ。バッファローにとって海を愛する人は自分のファミリーなんだよ。どんな人でも区別なくね」と、語るのは息子のブライアン・ケアウラナだ。サーファーだけでなく海をもリスペクトする心。海と戯れながらも、畏怖する心。海を愛する気持ちが、マカハのサーファーの結束を強めているのだ。「ここは他の地域よりもライフガードを目指す人が多いんだ。 そして、そういう人達は必ずこう言うんだよ、『俺もバッファローの ようになりたい』ってね」

かく言うブライアン、そして兄弟達もライフガードとして従事しているのだ。バッファローそして息子達のラストネームである「ケアウラナ」は"Love with the ocean"(海への愛)という意味だと言う。

バッファロー・ファミリー、そして海を愛するマカハの人々によって、このビーチとコミュニティはこれからも大切に守られていくことだろう。

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