【学ぶハワイ】ハワイミュージック＆フラの豆知識

５月のハワイは「メレメイ」と呼ばれ、ハワイアンミュージックやフラの一大イベントが各地で繰り広げられる月なのです。
世界中にハワイ文化を広めるために2011年から「メレメイ」がはじまりました。
そんな５月を目前に、今日はハワイアンミュージックとフラが今日まで受け継がれてきた背景をお伝えします！

海に囲まれたハワイは、海によって外とつながり、海を渡って様々なものが流れ着きます。島の人々はそれらを受け入れ、自分たちのものとして吸収、加工していき、ハワイの音楽もそのようにして育まれてきました。
元々文字を持たない口承文化のハワイアンは、チャント（詠唱）に多くの情報を込めて、記憶し、唄い踊ることで伝達していたのです。ハワイアンの伝統文化として知られる「フラ」は、本来、「チャントを唄い踊ること」を意味し、唄い踊られるチャント、「メレフラ」がハワイアンミュージックのルーツといわれています。

太平洋の真ん中に位置するハワイ諸島は、18世紀西欧人によって発見されます。そして、ハワイにはなかった近代文明の製品、宗教（キリスト教）、病気、貨幣システム、移民などが持ち込まれます。西欧との接触後、初期にハワイへ移り住んできたのは、宣教師の一団。「野蛮な土着民」とされたハワイアンを改宗すべくやってきた宣教師たちがハワイに持ち込んだもののひとつに「賛美歌」がありました。
ハワイ語の賛美歌は「ヒメニ」と呼ばれ、ハワイアンたちは、賛美歌の持つメロディー･ラインとハーモニーの美しさに魅せられ、メレフラのほかに、ヒメニという新たな音楽を手に入れたのです。

ハワイ王国8代目の女王でもあるリリウオカラニが生まれたのは1838年。キャプテン・クックのハワイ発見から60年、カメハメハによるハワイ統一から28年、宣教師入植から18年、ハワイの価値観も政治も、そして音楽も大きく変化をとげた時代。
4代前の高祖母に著名なハクメレ（チャント、唄を創作する人）を持つ家系に生まれ、兄にハワイ王国7代目国王、デイビッド・カラカウアを持つ貴族階級で裕福な環境に育ちました。（兄のカラカウア、リリウオカラニ、妹のリケリケ、弟のレレイオホク、この4人の兄弟姉妹は全員自作の歌を残した音楽家なのです！)

彼女の創作ピーク期は1870年代（リリウ30代のころ）で、あの有名な「アロハ・オエ」を含む、作品全体の約半数の楽曲がこの約10年の間に創作されました。リリウオカラニは、「歌をつくることは、私にとって呼吸するのと同じくらい自然なことです」という名言も残しています。

画像提供：Hawai‘i State Archive

ハワイアン・ミュージックは常にフラとともにあります。
ハワイの人々・大地の遺産を詠うメレ（ハワイの歌）に合わせて踊られるフラのステップ、手足の動きのひとつひとつに意味があります。西欧との接触以前のハワイ社会で、生きた芸能として、そして儀式的役割をもっていたフラは、何世紀にも渡ってファミリー・トラディションとして代々受け継がれていました。
しかし島外からの伝染病による人口減や宣教師によるハワイ文化禁圧の影響で、フラも否定され、公然とフラ教育やフラ・パフォーマンスを行えない状況に追い込まれたこともありました。

そんな中、フラをはじめとするハワイ文化の復興のカギとなったのが第７代目ハワイ国王のカラカウア王。失われていくハワイ的精神を蘇らせるために君臨した彼のおかげで、それ以前５０年ほどの間抑圧され続けた、フラをはじめとしたハワイの伝統文化が再び見直され公共の場で日の目を見るようになりました。
毎年4月にハワイ島のヒロで開催されるフラの祭典「メリー・モナーク」は「陽気な君主」という意味を持ち、カラカウア王のことを指しているんです！

癒しと明るい気分にさせてくれるハワイアンミュージックと、華麗で美しいフラ。
どちらもハワイ文化にとって欠かせない大切に守られてきた文化です。いつでもハワイ気分を味わっていただけるよう「音楽でハワイ」では、今すぐにハワイアンミュージックとフラをご覧いただけるコンテンツをカテゴリー毎にご紹介しています！
ぜひ気分に合わせてお好きなシリーズをお楽しみください。