ハワイの魅力の一つに「星」がありますが、特にハワイ島は、天気の良い日に満点の星空を見られることでも有名です。
また、古代からハワイと「星」は切っても切れない関係にあり、古代ポリネシア人は航法器具を用いず、星、太陽や月、海流などを使って遠洋航海を行なっていたと考えられています。
今日はハワイにとって重要な「星」との関係性を学びましょう!
【学ぶハワイ】ハワイと星の関係を学ぼう
2020.07.01ポリネシア人と天体観測
昔、タヒチやマルケサス諸島から小さなカヌーに乗ってハワイ諸島へやって来たポリネシア人たちは、「スターナビゲーション」と言う、北極星(ホクパア)やすばる星団(マカリイ)などの星を目印にして航海を行いました。
ハワイ諸島は周囲を広大な海に囲まれています。
長距離の航海の際に自分たちの現在位置を知るにあたり、星の観察はとても重要でした。彼らは航海中、水平線上に腕を伸ばし、指先に特定の星が来るようにしました。指を開いて星と星とがどのような位置関係にあるかを確認して、現在位置を割り出す目安としたのです。
ハワイ諸島が位置する北緯20度付近では、オレンジ色に輝く牛飼い座の1等星アルクトゥルス=ホクレア (Hōkūleʻa) が頭上を通り、北斗七星(ハワイ語の名は、7を表す Nā Hiku)の柄を同じ長さの分、伸ばすと見つかります。
ホクレアのhōkū はハワイ語で星、 leʻa は幸福や嬉しさ、楽しさを意味し、「幸せの星」のような意味合いを持っています。
この他に、海流や水温、風、渡り鳥などを活用し、数千キロメートルに及ぶ長距離航海においても、ほぼ正確な位置を割り出すことができました。
ハワイを含む太平洋の島々は、遠い昔から天体観測を重要な文化として高度に発達させたのでした。
ポリネシアの伝統航海術を再現したカヌー「ホクレア」
1970年代にハワイアン ルネッサンスというハワイ文化を復興させようという動きが活発化し始めた頃、古代のポリネシア航海術を復元しようとの動きが起こり、1973年にポリネシア航海協会 (Polynesian Voyaging Society) が設立されました。
道具や器械を一切使わずに大海を渡り切れるか、種々の計画と試行錯誤が繰り返され、1975年にオアフ北東部のクアロアの海岸で、複製のポリネシア双胴カヌーが組み立てられ、ハワイ諸島を象徴する星の名を取って、ホクレア (Hōkūleʻa)と名付けました。
そして何度となく実験航海と失敗を繰り返したホクレアは、1976年にハワイからタヒチまで、古代の航法での航海を、悪天候や雲、凪に悩まされながらも、成功させたのです!
地球上でもっとも多くの星空を観察できるハワイ
ハワイ諸島は地球上でもっとも多くの星空を観察できることで知られています。
1年を通じて全天の80パーセントを観察できるとともに、北極星と南十字星を観察できる世界でもまれな場所です。
ハワイ諸島の中でもひときわ高い山を抱くハワイ島とマウイ島。2つの島には多くの天文台が設置され、宇宙の神秘を観察する場所となっています。
なかでもマウナケア山頂直下に設置された世界各国の巨大望遠鏡は、最先端の技術を駆使して未知の情報を探索しています。
ハワイ島の中央北部に位置するマウナケアと、南に位置するマウナロアの北東側には、標高の高い位置に雲海が広がります。
北東方面から湿った風を運ぶ貿易風が造り出したもので、それより上では晴天率が高いのです!
山頂付近は風が強く、乾燥した空気と、強風によって大気中に浮遊する埃などを吹き払ってくれるため、天空には見通しの良い視界が確保されます。
なぜ天体観測に適している?
天体観測を行うには晴天率が高いだけでなく、大気が安定していることも重要。
星が瞬くのは美しく感じられますが、これは大気の乱れによるもので、超高性能の天体望遠鏡では実は大きな障害となります。
マウナケアの標高は4200メートルを超えるので、空気が薄く、星の光りを受け取りやすいというメリットもあるのです!
ただし、山頂のコンディションがどれほど良くても、山麓に都市があると、町の明かりが干渉して夜空が十分に暗くなりません。
しかし、ハワイ島には大きな町がなく、最大の町であるヒロも雲海の下にあることが多いので、地上光の影響を受けることはほとんどないのです。
ヒロの町は夜に消灯する建物が多く、街灯にはオレンジ色を使用するなどして、天体観測に与える影響を極力小さくしています。
ハワイの綺麗な星空を守っていくために・・・
安定した貿易風のおかげで、高所の晴天が約束されていたマウナケアの山頂付近は、わずかながら晴天率が減少の傾向にあります。
太平洋の真ん中に位置するハワイは、大陸や他島の影響を受けにくいですが、世界的な気象変動の影響から免れることはできません。
異常気象は私たちが防ぐことは難しいですが、地球温暖化の影響を最小限に抑えるためにも、環境保全に私たちひとりひとりができることを行っていきたいですね!