まあるいピンク、花びら形の黄色、三角のグリーン…。色も形もとりどりのカラフルなふわふわがぎゅっと詰め込まれたパッケージを開けると、「かわいい!」と、誰もが思わずカメラを向けたくなるはず。
小さな街のイノベーティブ。自由が楽しい名物フルーツ大福 TWO LADIES KITCHEN(トゥー・レディース・キッチン)
2023.03.17ふたりの日系女性をかわいくデザインした「トゥー・レディース・キッチン」のロゴマーク
インスタ映え抜群なこちらを売っているのが、ハワイ島ヒロにあるモチスイーツの専門店「トゥー・レディース・キッチン」です。日系移民3世のノーラ・ウチダさんが、祖母から教わった日本のお餅の食べ心地や小豆の優しい甘さにハマり、このおいしさを伝えようと、母のサチさん、叔母のトミさんの3人でお店を立ち上げました。そう、女性3人で始めたのに、店名はなぜか「トゥー・レディース(=女性ふたり)」。実は、母のサチさんはとても控えめな人で、お店の看板になることを好まなかったとか。明治時代の日系女性は、そんな奥床しさを持っていたのかもしれませんね。
右手から時計回りに、ストロベリー、季節限定のマンダリン、季節限定のアップル、形がユニークな粒あん、リリコイ
看板メニューは、つやつやとジューシーな大粒のいちごと上品な甘さの粒あんを、もちもちとやわらかいもち生地でくるんだ「ストロベリーモチ」。そう、日本人にはおなじみの「いちご大福」です。祖母から受け継いだ伝統的なレシピを忠実に守り、お店の裏にあるキッチンで、生地はもち粉から手作り、小豆は手間をかけて炊き上げた作りたてを使っています。
売れ筋は、フルーツモチに焼きマンジュウを加えたアソートパック(6〜20個)。小ぶりの鯛焼きもある
でも、それだけでは終わらないのが「トゥー・レディース・キッチン」の人気の秘密。ストロベリーモチに生クリームを加えた進化系「ストロベリーショートケーキモチ」のほか、ココナッツミルクやリリコイ(パッションフルーツ)といったハワイらしいフルーツフレーバー、ブラウニー、ホワイトチョコレート、マシュマロとチョコクランチといったアメリカンなものまで、季節のメニューも加えると、そのバリエーションはおよそ20種類。中身だけでなく、生地の色やかたちもハワイらしくて、見ているだけで楽しくなりますよね。
フルーツモチのアソートをチョイス。
伝統的な技術や製法と、ハワイ島のローカルな土地の恵みを融合させ、新しい味を再構築するー。あれれ、これってガストロノミーシーンの最先端で輝く世界各国のスターシェフが、いまこぞって取り組んでいる「イノベーティブ料理」のコンセプトではないですか。
おもちゃ箱のような店内。日本の鯉のぼりやハワイアンキルトなど、ん日本とハワイが自然に融合している
日本の大福を起源としつつ、ハワイアンスタイルに再構築されたトゥー・レディース・キッチンのモチスイーツ。合わせる素材によって粒あん、こしあん、白あんを使い分けるのがおいしさの決め手です。
今、おうち時間を楽しむために、お菓子作りをする人も多いと思います。日本でなら、もち粉もあんこも簡単に手に入るから、あとはあなたのアイデア次第。トゥー・レディース・キッチンのメニューをヒントに、自由な発想で「大福を再構築」してみませんか。
*2019年に取材されたものです。
江藤詩文(Shifumy)
フード&トラベルジャーナリスト。「ガストロノミーツーリズム」をメインテーマに、世界各国の三つ星レストランからローカルフード、ワイナリー、醸造所などを取材して新聞・雑誌・ウェブサイトに寄稿。世界のトップシェフのインタビューを多数手がける。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~」シリーズ3巻(小学館)。
インスタグラム @travel_foodie_tokyo