オアフ島ホノルル生まれアイエア育ちのホク・クピヒア氏にとって、幼い頃から海は特別な存在でした。それほど海に近くないアイエアから家族揃って海に行く時間は、何よりも嬉しい時間で、それは大人になった今でも海で過ごす時間は彼にとってかけがえのない時間であることは変わりません。
Hoku Kupihea/ホク・クピヒア/Hoku Surfboards
2022.12.06Hoku Kupihea/ホク・クピヒア/Hoku Surfboards
「どんなライディングをしたいか、どうしたらイメージ通りに乗れるのか、そこから自分自身へのボード作りが始まりました。」
ボディサーフィンから始まり、ショートボードではコンテストシーンで稼ぐことも視野に入れたほどの腕前を持つホク氏がロングボードへと移行したのは、親友でありシェイパーとしての恩師でもある友人の存在でした。特に彼らが好む60年代〜80年代のロングボードのスタイルは、波を読んで、ボードにリードさせ、ショートボードのようなパワーサーフィンでなく動きを少しスローダウンさせ、波とボードの動きに体ごと委ねるようなライディングが特徴的です。もっと上達したいという思いから、求めるライディングに合った自身のボードを削り始めたのがシェイピングを始める最初のきっかけだったそうです。
「今までにあるスタイルを真似ながら、自らのアイディアをプラスし新しく作り上げる。サーフボードは海の中の動きのあるアートの表現のひとつ。」
そして、長年レストラン業界でシェフとして腕を振るっていたホク氏がサーフボードのシェイピング業界に足を踏み入れたのは2016年のこと。趣味から始まったサーフボード作りに魅了され、ブランクボードのサンディングからシェイピング、グラッシングまですべて自分で手掛けることにこだわり、遂に2021年3月に本職のサーフボードシェイパーとして新しい道を歩き始めたばかり。
「1本作ったら、また作って欲しいと思われるボード作り。さらに先にはその1本よりもより良いボードを作ることが目標。」
現在、ホク氏が手掛けるボードは、カスタムオーダーのみ。1本1本、顧客からオーダーを受けて作り上げる彼のボードは、すべて世界でたった1本だけのサーフボードです。オーダーをしたいサーファーと一緒にサーフィンに行き、顧客の足さばきや体重移動の仕方などライディングの癖を見抜いた上でその人に合ったボードを作り上げるのが彼のスタイルです。さらに、何年か後に同じボードをオーダーされれば、前回以上に良いボードに進化させて仕上げたい。サーフィンの技術だけでなくシェイピングの技術もまた常に進化し続けることがモットー。量産で作れられるサーフボードが多い中、100%ハンドシェイプのサーフボードの良さとハワイアンであることに誇りを持ち、次の世代に繋げられるようなボード作りを続けたいという思いは、他のハワイ発のブランドの共感も得て、ハワイの伝統的な文化や海洋生物などをモチーフにしたメイド・イン・ハワイで人気のアパレルブランド「ケアロピコ」とのコラボサーフボードを作るなど、これからも多方面での活躍が期待されます。