ハワイにも四季があります。南国のそれは日本に比べるとささやかな気温変化と思われがちですが、動物や草花などの自然界が人々の五感に訴えて来る独特のもたらし方をしてくれます。ハワイの冬を告げてくれるのがアラスカからハワイ沖へやってくるザトウクジラ。地球上で最も大きな哺乳類は繁殖、出産、子育てのために4800kmの長旅を経て、毎年12月頃から3月頃までハワイ沖で暮らします。
この世で最も美しいブルーを見に Whale Watching- Star of Honolulu-
2023.02.28この時期になると、各社クルーズ船はホエールウォッチングツアーを開始し、決められたルールに則って、ザトウクジラを見ることができます。ザトウクジラを見つけたら、規定速度に落とし、100ヤード(約90m)の距離を保って静かに見守ります。90年代後半以降はこうした努力によって、ザトウクジラの頭数は格段に増えたと言われています。
私の今年初のホエールウォッチングクルーズは1月26日スターオブホノルル号にて。大きな船は船酔いもしづらく、なによりもワイキキ沖からダイヤモンドヘッドを眺めたりと日常の反対側が見られる楽しみがある。できればクジラを近くで見たい!けれどホエールウォッチングの楽しみは、同乗した人々と綺麗な海を眺めながら探す一体感や、ザトウクジラのことを知れる喜び。ハワイの自然を身近に感じ、知見を深めることができることにあると思います。
乗船した日は貿易風が吹く気持ちのいい日。出航して30分ほど経った頃に潮吹きが2つ。親子鯨が遠くに見えました。ハワイ最大級のスターオブホノルル号は4階建なので、乗船客は散らばってみることができます。私は2階の船頭デッキあたりでスタンバイをしていたところ、すぐ目の前の海面に泡がぶくぶくと見えた、と思ったその瞬間に「プッシュ〜」と大きな潮吹き!もう慌てちゃって。特に友人が。そしてその友人がこけた。で、写真には収められず大爆笑。でも見ましたよ。ザトウクジラの特徴である体長の3分の1もある大きな白い胸ビレが写し出すハワイの青い海。この世で最も美しいブルーと言われている青色を。「ブルー・オブ・ブルー」
45分も息をとめることができるザトウクジラは数百メートルも潜れると言われていて、その生態はいまだ未知なことばかり。そして歌を歌う。ザトウクジラが奏でる歌はハワイで聞くことができます。メスも音は出しますが、歌うのはオスだけ。そのため、求愛行為ではないかと推測されています。海の中で響くザトウクジラの歌声は30キロ先にも届く。
だからハワイの海で泳ぐことがあればぜひ水の中で耳をすませてほしい。バイオリンの旋律を思わせる少しだけ物悲しいようなザトウクジラの歌を聴くと、ああ今年もハワイの冬がやってきた。そして、私はハワイの美しい海にいる、と心に響く。