芸術の秋？食欲の秋？どちらの希望も満たしてくれる美術館

暑さも少しずつやわらぎ、木々が秋色に色づいてくる頃、ハワイでは朝晩にハラハラと雨が降り、虹が頻繁に見えるようになっていきます。自然が街に彩りを与えてくれる、そんな季節は、やっぱり芸術に浸りたいか…あるいは、涼しくなってきたところで、暑さで減退していた食欲の復活を祝いたいか（笑）…非常に悩みますね！

そんな悩める人々の大きな味方となる場所が、ワイキキからすぐの所に２つもあります。「美術鑑賞を楽しみながら、美味しいランチやコーヒーなどを楽しめる美術館」－10月から4月頃の雨季のハワイを、楽しく過ごすアイデアとして、今回は２つの美術館をご紹介いたしましょう。

ワイキキから出るトロリーや市バス（2番・13番）が目の前に止まることで、観光客の方々も行きやすいホノルル・ミュージアム・オブ・アート（ホノルル美術館）。こちらには、ピカソやモネ、ゴッホといった世界的に有名なアーティストの作品に加え、エジプトの古代壁画、青銅器、アジア各国から集められた仏像、宗教画、ハワイ王族の羽のケープなど、美術館の範疇を超え、博物館に展示されているような所蔵品の数々が並びます。

広い館内には、中国風、地中海風など、雰囲気が異なる５つの「中庭」があり…

展示品だけでなく、建物自体も芸術的なつくりとなっています。

1927年に、ハワイで最初の美術館としてオープンしたホノルル美術館は、アナ・C・ライスという、宣教師夫妻の元に生まれた女性のアートコレクションを展示したことから始まっています。当初は875点だった美術品も、現在では5万5千点を超える程の数を所有しているということで、展示品のバラエティーの豊かさには、本当に驚きます。展示品は、アジア、西洋、現代美術、イスラム芸術など、テーマによって29の部屋それぞれにまとめられています。

展示ルームは、数ある中庭を囲んで小部屋が連なっている形で、それがあちこちにある状態。次の部屋に行くために、一旦屋外に出ると、不思議と方向が分からなくなり、迷子になったような気分になることも！

そんな風に、迷いながらもじっくり館内を歩いていると、ちょっとお腹が空いてきたり、休憩したくなったりしてきますね。そんな人々の希望を叶えてくれる、2か所のフードエリアを持っているのが、このホノルル美術館です。

サラダ、サンドイッチ、パスタなど、豊富なメニューをワインやビールと共に楽しめるようになっている、大人気のオープンエアのカフェがあります。しっかりしたお食事だけでなく、館内の別の場所には、ちょっと休憩したい時に便利なコーヒースタンドもあります。

こちらでは、エスプレッソを使った本格的なラテやモカ、カプチーノ、ティー、シトラスソーダなど、様々なドリンクを作っていただけます。

ペイストリーやサラダなどの軽食に加えて、ここでもワインやビールが飲めるようになっていて、ワイン片手に、見てきたアートの感想を語り合う人々の姿も。なんとも優雅な時間の過ごし方ですね。

ホノルルのダウンタウンにある、ハワイ州庁舎のお隣にあり、イオラニ宮殿からも徒歩2分程と、とても分かりやすい所にあるのが「キャピトル・モダン」、ハワイ州立美術館です。現代（モダン）アートを主に展示する美術館として、新たに付けられた名前に「モダン」という言葉が入りました。大きな建物の2階部分と中庭が美術館となっていて、他の部分は、主に州のオフィスとして使われています。

1928年に完成したこの建物は、簡易宿泊所として造られています。そのため、入口を入ると、まるでチェックインをする場所のようなカウンターがお出迎え。

エントランスの両サイドに、階段とエレベーターがありますので、それで２階に上がると、美術館に入れるようになっています。ハワイ在住のアーティストによる作品を展示する美術館で、入館料は無料です。

中庭は、大型の彫刻を展示する場所になっていて…

ちょっと一休みできるような、パラソル付きのテーブルが置かれています。さらに、この中庭には、大きな木々も植えられています。

長い葉を編んでマットが作れる「ハラ」の木や、ハワイ州の木「ククイ」、魔除けの木でもある「キー」といった、古代からハワイ文化を支えてきた大事な木々です。古代の自然と、現代アートが融合する空間で過ごすひと時も、いいですね。

こちらの建物の1階、中庭と接した部分は、カフェのオープンに向けて準備中です（2024年10月現在）。どんなメニューが登場するのか、楽しみですね。

美術を楽しんだ後は、ゆったりと食事やコーヒーを楽しむ…。今回ご紹介した美術館では、心もお腹も満たされる、最高のリラックスタイムが待っています。

全写真：Hawaii Historic Tour LLC