北東から吹きつける貿易風が、山々に当たってできる雲がもたらす雨と豊富な地下水、一年を通して温暖な気候―ハワイは農業を行うのに適した土地を多く持っています。オアフ島でも、降水量が多い東海岸のカネオヘからワイマナロでは、古代には養魚池やタロイモ栽培のための水田が作られ、後にアジア人移民の食を支える稲の水田も広がっていました。(現在もワイマナロは、農業が行われています。)ワイキキもかつては見事な農村で、豊富な地下水や川の水の存在に、長い日照時間が加わり、美味しいタロイモやバナナ、米が豊富に採れていました。
ハワイの農業について学ぼう!ワゴンに乗って広大な農園を進むツアーが大人気
2024.12.27ワイキキに広がっていたタロや稲の水田。 写真:Hawaii State Archives
ハワイで商業生産されている動植物の生産額ランキング
1835年に、サトウキビの商業生産が始まり、1800年代後半から1900年代前半にかけて、サトウキビやパイナップルの巨大なプランテーションがハワイ各地で造られ、日本人移民も数多く働いていました。
経済活動の中心が観光業に移り、サトウキビやパイナップルの大規模な商業生産は終えてしまったハワイですが、かつて農地だった場所を使って、現在は様々な農作物が栽培されています。それでは、ハワイで商業生産されている動植物の生産額トップ20を見てみましょう。(ハワイ州農務局が2023年12月に発表した最新の資料より)
1位 作物の種
2位 牛
3位 コーヒー
4位 藻(も)
5位 マカダミアナッツ
6位 バジル
7位 鶏卵
8位 ラン(切り花/鉢植え)
9位 葉(装飾用/食用)
10位 レタス
11位 タロイモ
12位 鉢植えの植物
13位 バナナ
14位 切り花/レイ用の花
15位 パパイヤ
16位 長ネギ
17位 観賞魚(養殖)
18位 キャベツ
19位 食用豚
20位 サツマイモ
かつては、ハワイで生産される農作物の大部分を占めていたサトウキビとパイナップルの姿はランキング内にありませんね。
地産地消が進むオアフ島
レタスやキャベツ、長ネギといった日常的に使われる野菜は、主にオアフ島内での消費を念頭に栽培されています。
こういった野菜類も含めて、ハワイで消費される食糧は、長い間アメリカ本土や外国からの輸入に頼っており、ハワイの食糧自給率はわずか10%程という状態が続いていました。しかし、食料の輸入には高額の運搬コストがかかることや、収穫後の運搬時間が短い方が、新鮮なまま消費者の手に届けられるといったこともあり、ハワイの島々の中でも、特に人口が多いオアフ島で、地産地消が進んできています。
カフクで行われている農業について学べるツアー
かつてサトウキビ栽培が行われていた農園は、オアフ島の南西部、中央部から北部、北東部に広がっていました。その、北東部の農園があったのは「カフク」と呼ばれる地域で、今では、ハワイのローカルフードであるガーリック・シュリンプを売るバンやお店が集まっていることで有名な所です。エビの養殖が盛んに行われているのと同時に、カフクコーンといった甘いトウモロコシの産地、そして、オアフ島で売られている様々な野菜の生産地でもあります。
1900年代初頭、サトウキビ・プランテーションで働くためにハワイへと渡った、日本人移民であるマツダ氏と、フクヤマ氏。プランテーションでの契約を終えて農業を始め、意気投合した両氏が、後に共同経営者として、あらためて作り上げた「カフク・ファーム」という農園があります。
黄色いカフェの建物が目印。カフェの食事がオシャレで美味しいと人気。 写真:Hawaii Historic Tour LLC
広大な農地に、パパイヤ、アップルバナナといったトロピカルフルーツをはじめ、長ナス、カカオ豆、アサイなど、様々な種類の農作物を育て、包装、加工など、全て農園内で行っています。
広大な長ナスの畑。その向こうには、貿易風が強く吹き付けることを利用した風力発電のタービンがズラリ。 写真:Hawaii Historic Tour LLC
そちらでは、広大な農園をワゴンに乗って進みながら、栽培されている農作物、ハワイで行われる農業の大変な点、その対策の方法など、様々なお話が聞ける「グランド・ワゴン・ツアー」が大人気!
ワゴンに乗ってツアーに出発! 写真:Hawaii Historic Tour LLC
栽培されている植物を見ながら、収穫された果物などの試食が次々と登場するのも楽しいところです。「こんな風に収穫していたんだ!」と、驚きや発見の連続で、ハワイで行われている農業に、自然と興味が湧いてきます。
パパイヤの収穫をしている様子を見ながら、甘いパパイヤを試食! 写真:Hawaii Historic Tour LLC
1800年代中頃から1900年代中頃にかけて、ハワイは農業で非常に栄えた場所です。いずれ、ハワイで農業がより活発に行われるようになって、お米の栽培も復活し、「シャリは“ハワイ産コシヒカリ”」なんていうお寿司が誕生したらいいな~…と、妄想している今日この頃です。
カフクファームで収穫されたフルーツたっぷりのアサイボウル。アサイそのものも栽培しています。 写真:Hawaii Historic Tour LLC
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