イオラニ宮殿の定期コンサートをはじめ、式典、フェスティバル、学校などで、年間300以上のコンサートを行っているロイヤル・ハワイアン・バンドは、1836年にカメハメハ3世によって創立された楽団です。
メンバーは、ホノルル市の職員待遇(フルタイム)で、アメリカでは唯一の市営のバンドです。年間を通じて、公務である音楽活動は大忙し。
さて、このロイヤル・ハワイアン・バンドの十八番は、ハワイ王朝最後の君主、リリウオカラニ女王作品のアロハ・オエ。
「アロハ・オエ」は、ハワイをフィーチャーする代表曲として扱われることが多いですが、その理由は、単に女王の作品というだけではなく、オーケストラ演奏としてアレンジされ、実際に長きにわたり、演奏された経緯があるからだと思います。(初演は1883年、1895年と幾つかの諸説がありますが、いずれにせよ、100年以上のヘビーローテーション!)
「アロハ・オエ」をオーケストラ演奏用にアレンジし、1871年〜1915年まで、ロイヤル・ハワイアン・バンドのバンドマスター(指揮者)として務めたのは、プロシア(旧ドイツ連邦の王国)からハワイに渡り、最終的にはハワイ王国民となった音楽家ヘンリー・バーガー氏。
親交が厚かったリリウオカラニ女王からは、「ハワイ音楽の父」と讃えられ、実際、女王の多くの作品のアレンジを許可されたという背景から推測すると、ハワイ王国転覆後も女王の心の安らぎのひとつは、「音楽」だったような気がします。
来年は、是非、そんな背景を思い出しながら、ロイヤル・ハワイアン・バンドの演奏を聞いてみて下さい。新しいハワイの発見があるかもしれません。
写真は、イオラニ宮殿。