ハワイの注目アーティスト達

2021.05.12

近年注目されているハワイのアートシーンはここ15年で大きく変化が生じました。2002年のハワイ州立美術館の開設からアートギャラリーを巡るギャラリー・ウォーク、毎月第1金曜日に定期開催されるファースト・フライデー、2011年からカカアコで開催されているPOW! WOW! HAWAIIなど現在に至るまでアートの話題が常に絶えません。

近年は、ハワイで生まれ育った若者はもちろん、アメリカ本土で活躍していたアーティストも創作活動拠点をハワイに移し、ハワイのアートシーンを様々な形で彩っています。ハワイの美しい自然に触発され、ハワイの自然をモチーフにした作品を創るアーティストが多くいますが、アートを通して豊かな地域社会作りに熱意を持つ若者も増えています。

ジャスパー・ウォン(Jasper Wong)

アート教育やアート制作、イベント企画やプロディースを通して芸術への認識を高め、より豊かな地域社会作りに努めるコンテンポラリーアーティストが集まるNPO団体「POW! WOW! HAWAII」(http://powwowhawaii.com) の創設者。POW! WOW! HAWAIIは、2011年2月からオアフ島、カカアコ地区(倉庫街)で始まった恒例のアートイベント。主にアーティスト支援活動や完成したアートを通して街を形成する活動を行い、アートシーンと地域経済の活性化を目指しています。毎年バレンタインデー・ウィークに実施される約1週間のアートイベントは、ギャラリー展示、アートと音楽に関する講義、アート教育、壁画プロジェクト、コンサートなど、ホノルル市カカアコ地区で開催されています。現在では100人以上の国際的なアーティストと地元ハワイのアーティストが集まり、その規模は拡大しています。また、ハワイだけではなく、日本、台湾、ロングビーチ、イスラエル、シンガポール、ジャマイカ、ワシントンDC、グアム、ニュージーランド、ドイツなど様々な地域で活動しています。POWは“アートが人に与える影響”、WOWは“アートによる観覧者の反応”を意味し、合わせると先住アメリカンの言葉で文化、音楽、芸術を祝う集合体を意味するPOW WOWになります。

アリソン・イシクニ — ササキ(Aly Ishikuni-Sasaki)

2010年、カカアコ地区で始まったアーバンマーケットイベント「Art+Flea(アート+フリー)」(https://www.artandflea.com) の創設者。Art+Fleaは、当初毎月1度の開催で地元アーティストやクラフターの作品を提供する共有の場としてスタート。現在は彼らの熱い情熱とその芸術品などがハワイのアートシーンをけん引していると言っても過言ではありません。ユニークでローカルな、毎回風変わりなテーマと楽しさで開催されています。Art+Fleaの常設店として「MORI by Art + Flea」をサウス・ショア・マーケット内で運営している。2018年のGWには、Hawaii Music & Life Festival(HML)のイベントの一環として、Art+Fleaを六本木ミッドタウンで開催しました。Art+Fleaは、オアフ島の中小企業の発展に貢献し、創造性とコミュニティを融合する場を設けることで共に互いの情熱を共有し成長していくことを目標としています。

キム・シエルベック (Kim Sielbeck)

アラスカ生まれホノルル在住のイラストレーター、ペインター、表面デザイナー。沿岸警備隊の家族に生まれたキム・シエルベックは、小さい頃からアメリカ中を移住して育ちますが、その中でも子供の頃に数年過ごしたハワイでの生活が彼女のイラストレーションに多大な影響を与えました。ニューヨークの「スクール・オブ・ビジュアル・アート」でイラストレーションを学んだ後、7年半ニューヨークのデザインスタジオにて、ファッション、インテリア、ペーパーアイテム、スイムウェア、子供向けのアイテムなど多様なフィールドでデザイナーとしてのキャリアを積みました。特にテキスタイルや表面デザインを通じてパターンデザイン、配色、デザイン構成の目を養い独自のポジションを築き、特にカラーはキムの作品の中でも最も重要な要素として認知されるようになりました。

ニューヨークでフルタイムとして働く傍ら、ペインティングやイラストレーションを創作することを続けた結果、数々のアート賞を受賞し、ペプシやキャピタルワンなどの大企業からの仕事の依頼が訪れます。2016年2月、ニューヨークからハワイへ移住のチャンスが訪れて以来、ハワイでは2回のソロアートショーを開催し、2018年は日本でアートショーやイベントに3回招待されるなど、若手として急成長している国際的アーティストとして注目されています。

ハワイでの取り扱い店舗は、Polu Gallery(ハレイワ)、Mori by Art + Flea(ホノルル)、Hakubundo(ホノルル)、Aesthetic Hawaii(ワイコロア、ハワイ島)など。

ウェブサイト:https://www.kimsielbeck.com/

アンバー チェゼブロ (Amber Chesebro)

ハワイのビーチや自然からインスピレーションを得てデザインする「ソルティーガールジュエリー」は、新進気鋭のアーティスト、アンバー・チェゼブロが手がける本格ハンドメイド・ジュエリーブランド。ハワイの島々の自然をコンセプトに、エキゾチックな熱帯植物やユニークな形状をした海の生物をモチーフにした類い希な独自のデザインを創作しています。確かな品質と唯一無二のオリジナリティーを追求して生み出される美しい手作りのジュエリーは、観光客だけでなく地元でも愛されています。

ソルティーガールジュエリーのオーナー兼ジュエリーデザイナーのアンバー・チェゼブロは、メイン州の穏やかなフィッシャーマンビレッジで育ちました。幼少時代には、潮が引いた後に残る岩礁などの水たまりで遊んで過ごしたため、海の魅力に取り憑かれていきました。幼い頃からアートに目覚め、油絵、水彩画、アクリル画、写真、ガラスアートなどを体験し、その中でもジュエリー製作に情熱を注ぐようになります。世界的に有名で“美大のハーバード”と称される「ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン」のジュエリー・アンド・メタルスミス・プログラムを最高額の奨学金付きで合格。2008年に卒業後にハワイへ移住し、自身のブランド「ソルティーガールジュエリー」を設立。ホノルル・アカデミー・オブ・アートで講師としても活躍後、現在はホノルルのアトリエやビーチでジュエリー制作に日々没頭しています。

モーガン アスターン (Morgan Astern)

ジュエリーデザイナーのモーガン・アスターンと写真家のジョシュ・アスターン夫婦が手がけるハンドメイドのジュエリーブランド「フォテラジュエリー」。美しいハワイの風景写真や“フォテラコミュニティ”と称した仲間の写真家の作品をデザインに使用した唯一無二のジュエリーが特徴的です。“身につけられるアート”としてハワイで注目のブランドへと成長し、昨年、初めて秋冬コレクションを発表。全世界の写真家とネットワークを作りビジネスを展開しています。ジュエリーコレクションは、美しいハワイのビーチや自然風景を通して、身につける人に冒険心で満ち溢れてもらいたいという思いが込められています。スターリングシルバーや14Kゴールドフィルドのワイヤーで縁取られたジュエリーは、うっすらと透き通った樹脂で固められ、丈夫なウォータープルーフ素材。透光性があり、軽量なのも人気の秘密です。

モーガン・アスターンは、ポートランド出身で現在ホノルル在住のジュエリーデザイナー。かつてコスチュームデザイナーというものづくりの情熱とハワイの自然美からインスピレーションを得て、2009年に趣味でジュエリー作りを開始。
紙を使ったユニークなジュエリーを作り、2012年頃より自身の旧姓を使った「レーンタナー・デザインズ」としてハワイのクラフトフェアに出店し成長。2017年にブランド名を「フォテラ」に改名。夫のジョシュ・アスターンは、本職の科学研究院として働く傍ら写真家としてブランドに貢献。2018年、科学研究院を退職してフォテラチームに参加。

サラ カードル (Sarah Caudle)

ハワイの海や自然をモチーフにし、独特の立体感と透明感のある作品で注目を集めるサラ・カードルのアート。ダイナミックな色彩と流れるような動きのある表現方法、有機的な構図でハワイの自然や青い海、波を描いた彼女の作品は、安らぎとアロハの心が満ち溢れ、鑑賞する者の心を癒します。木製パネルにアクリルと樹脂(レジン)を使用し、樹脂を一層ごと丁寧に重ねながら作品を創り上げます。現在ハワイで人気を集めているレジンアートの中でもサラ・カードルの作品は、築き上げた独自の手法と筆使い、卓越した色彩や形状に対するセンスに加え、限りない海への好奇心と愛が融合した個性があります。サラ・カードルの作品は、特定のビーチがモチーフになっていますが、あえてビーチの名称を発表していません。作品を観る人のひらめきとイマジネーションに委ねるという作者の思いが込められています。

サラ・カードルは、ジョージア州アトランタ出身の海景画アーティスト。大学でデザインを学び、家族とサウスカロライナへ旅行をした際、海の持つ神秘的な魅力に取り憑かれ、海に囲まれたて暮らしたいと想いを馳せていました。2013年、アーティスト兼デザイナーになる夢を叶えるためにオアフ島へ移住を決意。ハワイのジュエリー会社でデザイナーとして働く傍ら、アート製作に没頭し、やがて独立します。2017年8月、ワイキキのロイヤル・ハワイアン・センターで出展した作品が多くの人の関心を集め、次世代のアーティストとして注目を浴びるようになります。

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