大改装したホテルのマラマな取り組み

2023.01.18

アウトリガー・リーフ・ワイキキ・ビーチ・リゾート

800万ドルをかけた大改装を経て2022年4月下旬にグランドオープニングセレモニーを盛大に行った『アウトリガー・リーフ・ワイキキ・ビーチ・リゾート』。客室や、「アオ・カルチャー・センター」、「ハーブ・カネ・ラウンジ」、そしてハワイが誇るアーティストらがライブを繰り広げる「カニ・カ・ピラ・グリル」がお披露目されました。

アートでモダンな空間の「ハーブ・カネ・ラウンジ」
歴史家でポリネシア航海協会創立者の一人でもあるアーティスト故ハーブ・カワイヌイ・カネの貴重な原画を見ることができます。また、デジタルアーティストのカリ・ケーハウ・ノエ氏がデザインを手掛けた伝統航海カヌー「ホクレア」のバーチャルアートが展示されています。ハワイのコミュニティ、そして祖先とのつながりや永続的な関係を表現した繊維アート「Eia Hawaii, He Moku, He Kanaka(ハワイという島、ハワイという人)」も常設されています。

ロビーに展示されている一際目立つダイヤモンドヘッドの壁画「ComingHome」は廃棄漁網で制作され、「持続可能な社会の実現に向けて使い捨てプラスチックの消費を減らそう」というメッセージが込められています。また、ホテル入り口に展示されているアウトリガーカヌーは、100年前のカヌーを修復したものです。海側にはハワイの著名アーティスト、カメア・ハーダー氏の壁画「I Ka Wa Ma Mua, Ka Wa Ma Hope」もあります。ここに描かれている若者は、全員ハワイのために活躍した人たちの子孫…というストーリーがあるそうです。

プロジェクトマッピングで臨場感も味わえる
ポリネシア航海協会(PVS)やフレンズ・オブ・ホクレア&ハワイロアなど、このホテルが提携してきた団体とゲストをつなぐ場所が「アオ・カルチャー・センター」です。伝統航海カヌー「ホクレア」のバーチャルアート展では、臨場感あるホクレアの航海を体感しながら、ポリネシア航海術について学ぶことができるほか、ホクレアが、マラマ・ホヌアを掲げた世界一周航海で使用していた帆の展示などが無料で楽しめます。
https://jp.outrigger.com
Photo credit: アウトリガー・リーフ・ワイキキ・ビーチ・リゾート

アラモアナ・ホテル・バイ・マントラ

アラモアナセンターに直結する『アラモアナ・ホテル・バイ・マントラ』は2020年末に、50周年改装プロジェクトの工事が完了し、ロビー、スターバックス・ラウンジ、プールデッキが生まれ変わりました。「ローカルエッセンスを備えたアーバンリゾート」をコンセプトに、ロビーは天然石や木材、アースカラーによって柔らかみが増してより明るくなりました。

環境にも優しいホテルとして進化
全館の照明にLEDを設置し、各部屋のラナイ(ベランダ)のガラスドアを開けるとエアコンが自動的に切れる省エネ機能が装備され、ドアが全開でもエアコンがオンの状態という非効率に対処しました。また、水の使用量を減らすため「水資源保護にご協力ください」というカードを設置し、ゲストにタオルとリネンの交換を最小限にしていただくよう促しています。レストランやイベントによる食品廃棄物は全てアロハハーベストに送られ、ハワイフードバンクへの食料の寄付も行われています。アラモアナ・ホテル・バイ・マントラは、2021年、2022年にハワイマガジンの「財布に優しいホテル」に選ばれ、環境にも優しいホテルとして進化を遂げています。

古来ハワイのSDGsを壁画で発信
チェックインカウンターを彩る壁画を描いたのは、カカアコ地区の「POW!WOW!Hawaii」の創始者でウォールアートを手掛けた地元アーティストのメア・ハーダー氏。古代ハワイの土地区画「アフプアア」を表し、マカイ(海)、中腹、マウカ(山)の3つのパネルに分かれています。山から海まで流れる水で潤う土地を活用し、果物や野菜を栽培し、魚を獲るサステナブルな生活を表現し、土地が育む固有種や在来種の花や木々が生き生きと描かれ、近代的な洗練さが演出されています。
http://jp.alamoanahotel.com
Photo credit:アラモアナ・ホテル・バイ・マントラ

ハレクラニ

天国にふさわしい館『ハレクラニ』は、開業以来初の大規模リニューアルを終え2021年10月に営業を再開しました。リニューアルのテーマは、「後世につなぐ」です。伝統と進化の融合を叶え、人、物、自然へのホスピタリティに溢れています。

上質な素材を生かす持続可能な改装
マノアから海へ抜ける風を取り入れる本館の屋根「ディッキー・ルーフ」はそのまま残し、ロビーのフロントカウンターのコア材と床の大理石は全て磨き直して修復されました。中央に飾られたひときわ目を引く木と花のオブジェは、樹齢129年で倒れたキアヴェの一部が使われ、ホテルの芸術作品を手掛けるアーティストのジョン・コガ氏と草月流いけばなとのコラボレーション作品です。客室は、ハレクラニの伝統である「seven shades of white – 七色の白」のデザイン哲学を継承した新しいインテリアデザインに生まれ変わりました。ハレクラニの優しく包み込むようなホスピタリティの象徴として親しまれてきたオーキッドマーク。その優美なモチーフを120万枚ものモザイクタイルを用いて描いたプールは、必要な部分だけを修復し、ナンバリングに合わせて埋め込み直したそうです。こうした再活用は廃棄物の削減にもつながります。一方で、快適な滞在のために設備を刷新し、館内の消費電力も抑えるなど、目に見えない部分にも重点が置かれました。

ダイヤモンドヘッドを望むカウンター席が登場
オープンエアが心地よいオーシャンフロントのダイニング「ハウス ウィズアウト ア キー」は、入口の位置が変わり、海を正面に見ながら席へと案内されます。中央にはガラス張りのオープンキッチンがあり、ピザ窯が新設されました。テーブルとイスも一新され、白とハレクラニブルーで爽やかな印象です。誰もが座りたくなる特等席が、新たにできたモンキーポッドの1枚板のバーカウンターです。正面にダイヤモンドヘッドとワイキキビーチという世界有数のリゾート地ならではの景色を堪能しながら、非日常の世界へと導かれます。樹齢100年を越えるキアヴェの木は変わらず優しくハワイを見守っています。
https://www.halekulani.jp
Photo credit:ハレクラニ

タートルベイリゾート

オアフ島ノースショアの大海原に面した『タートルベイリゾート』は2021年7月に営業を再開しました。大規模改修チームに、地域の環境保全に積極的なハワイ出身の建築家を選ぶなど、マラマな取り組みに積極的に取り組み、2015年にはハワイ・グリーンビジネス・アワードを受賞した実績もあります。

あらゆる体験がサステナブルにつながるマラマなホテル
2013年にホテルにソーラーパネルを設置していますが、今回の改装ではバンガローにも新たにソーラーパネルを取り付けました。2年間で1.8トンの資源をリサイクルしたほか、人気の乗馬アクティビティで活躍する馬の糞や生ゴミはコンポストに入れてゴミの削減を実現しています。プールには塩素ではなく天然塩水を使用したり、トイレとシャワーは最新モデルを装備したりして水の使用量を削減しました。また、ホテルの廃水はろ過してゴルフ場に散水に利用されています。さらに、地元の団体との食品廃棄物プログラムを実施するほか、敷地内に468エーカーの農場「クイリマファーム」を作り、そこで収穫された350キロの農産物を使った料理をメニュー全体に取り入れています。収穫されたハーブはホテルのスパでも使われています。

ノースショアの広大な農地で収穫&食体験
天然資源の管理を行うポノパシフィックと提携して作ったクイリマファーム。クイリマは「土地と手をつなぐ」というハワイ語です。このファームでは、昨年夏から宿泊者やコミュニティ向けに、農場を見学し、ハワイの農産物や地域の歴史を学んだり、果実を収穫したり、土から野菜を掘って味わったりするファームツアーを開始しています。また、農産物のスタンドも併設され、植樹体験も企画中です。タートルベイリゾートでは、島の子どもたちに自分たちの食べ物を育てることの重要性について教育することを目指しています。このファームツアーはウェブサイトから予約が可能です。
https://www.turtlebayresort.com
Photo credit: ライトハウスハワイ

(取材協力:ライトハウスハワイ)

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