ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)は2024年2月29日、デスティネーション・マネジメントとハワイ島コミュニティ主導型環境保全指導員プログラム「コミュニティベース・アクション・スチュワードシップ・プログラム」の一環として、ハワイ島南部のカウ地区10人の住民が4ヶ月間にわたり、カウ沿岸南東部のプナルウ(Punalu‘u)を訪問する観光客を指導するため、Āina(大地)に基づく教育研修プログラム「カウ・ホア・ピリ・アイナ」を修了し、パハラの町で修了式が行われたと発表しました。
非営利団体のカ・オハナ・オ・ホヌアポが主催した「カウ・ホア・ピリ・アイナ」プログラムでは、地元の10人の環境保全指導員を募り、文化的な実践と規範、保全生物学、そしてカウ地区の地域性に基づくメッセージを組み込んだマラマ・アイナ(大地への思いやり)の実践について訓練を行いました。
カウ地区にある小さな町、パハラで職務経験とナーアレフに住んでいた経験のあるHTA理事長のムフィ・ハンネマン氏は、「カウ地区のコミュニティから、プナルウの自然資源への観光による影響をより適切に管理する必要性の声が上がり、プナルウの自然資源を保護・保全するためにこの地域に根ざした教育カリキュラムが必要であると訴えました。この地域の重要な場所を守る取り組みを主導してくれたカ・オハナ・オ・ホヌアポに感謝します」と表しています。
HTAはこの「カウ・ホア・ピリ・アイナ」プログラムに、ハワイ島デスティネーション・マネジメント・アクション・プラン(DMAP)に沿った目的地の環境保全とコミュニティ支援の一環として資金提供しています。
HTAのダニエル・ナーホオピイ暫定局長兼最高管理責任者は、「地元住民の声に耳を傾け、コミュニティが望む協働イニシアティブを支援し続けることがHTA にとって重要です。この訓練と地元モク地区の環境保護に尽力された指導員、リーダーシップと協力をいただいたカ・オハナ・オ・ホヌアポ、そして貴重な知見を寄せていただいた多くのクム(教師)と関係団体に感謝します。」と述べています。
ハワイ島観光局(IHVB)のデスティネーション・マネージャーのレイチェル・カイアマは、「このパイロットプログラムは、プナルウとカウ地区全体の利用者による影響を軽減しながら、カマアイナ(地域住民)と観光客を対象とした、この地に根差した教育活動を支援するためのコミュニティとのパートナーシップです。」と説明しています。
訓練の一環として、カ・オハナ・オ・ホヌアポは他の13の団体と協力し、ハワイ野生生物基金、ナ・マモ・オ・カワ、クア・アイナ・ウル・アウアモ(KUA)のリムフイ、ネイチャー・コンサーバンシー、ハワイ火山国立公園、カラニハレ、フイ・アロハ・キホロ、エディス・カナカオレ財団、カメハメハ・スクール、火山レア・プラント・ファシリティ、カウラナ・マヒナ、アイランドCPR、マラマ・ポノ・プナルウなど、多岐にわたるトピックについて情報を共有しました。
研修生たちは、土地利用の変化、流域保護、遺産管理、沿岸部の復旧プロジェクトなどについて学びました。CPRと救命救急法の訓練を受け、訪問客と地元住民に対してポノ(正しい)な実践の重要性を伝えるためのコミュニケーション能力を身につけました。
海洋植物の識別とモニタリング手法を学んだ後、研修生たちは実地でオピヒ(かさ貝の一種)のモニタリングとリム(海藻)の調査を行いました。その他の体験活動には、森林とハワイの養魚池の修復、海洋ごみの除去、コミュニティ主導の管理、コミュニケーションスキルの向上、モオレロ(物語)の共有、流域への影響についての学習などが含まれていました。
カ・オハナ・オ・ホヌアポの代表者は、この訓練は1か所や1つの大地だけを保全することを目的としたものではなく、カウ地区全体を対象とした包括的な、広域的な訓練プログラムであったと述べています。「研修生たちは、カウの資源や時間の経過とともに起こった土地利用の変化、気候変動の影響、外来種問題など、幅広いことを学びました。また、専門家から保護と管理に関する知見を得ました。さらに、他の組織やコミュニティメンバーと協力関係を構築し、まだカウ地区で行われていない環境保全活動を取り入れる可能性が広がりました」。
研修生たちが取り上げた環境保全の機会の一つが、ハワイ島南部にあるミロリイにおけるコミュニティ主導の管理の成功事例で、その実践をカウ地区の海岸線にも広げることでした。また、ラピッド・オヒア・デスがハワイの森林に及ぼす影響と、除染対策や汚染防止手順を通じてその拡散を抑制する方法についても学びました。
研修生には月々の手当が支給され、すべての指導行事や環境保全の機会に出席し、来訪者に対してポノ(正しい)な行動と安全規定を効果的に伝えることが義務付けられています。さらに、カウ地区と南コナで様々な団体のボランティア活動にも参加し、研修生はカウ地区全域から集まりました。
より深く大地とつながったことで、新しい環境保護指導員グループは、訓練中に協力した様々な組織や個人と再び関わり、マラマ・アイナ(大地への思いやり)の取り組みに関与し続けることができます。ボランティアベースでも雇用の機会を通じても可能です。
将来を見据えた上でカイアマは、「このトレーニングプログラムの目的は、コミュニティによる環境管理の研修と実施がどのように行われるべきかを示すことで、その後は州や郡の機関から部分的な支援を受けつつ、自立的に継続できるようになることを願っています。地域社会に根ざした環境管理プログラムが私たちに必要な経済の多様化をもたらすことが理想です。ボランティアや同様の人々が地域社会を支え、島の自然と文化資源を守りながら、収入を得られる仕事に就くことで恩恵を受けられるはずです。これこそが私たちが目指す再生型の観光モデルなのです」と述べています。
HTAの資金支援と後援を受け、ハワイ島観光局(IHVB)が運営する「ハワイ島コミュニティ主導型環境保護指導員プログラム」は、ハナウマ湾州立公園、ハエナ州立公園、レアヒ(ダイアモンドヘッド州立記念碑)などのハワイ州内他地域のコミュニティベースのプログラムの成功に基づいています。
参考サイト:https://holomua.hawaiitourismauthority.org/hawaii-island/
写真クレジット(c) Hawai‘i Tourism Authority